処方箋で作ったはずのメガネなのに、どうにも合わない、見づらいという経験はありませんか。
メガネの処方箋が合わないと感じる原因には、本当に処方箋が合わない場合や仕上がったメガネ自体に問題がある場合など、いくつか考えられます。
そこで今回は、処方箋で作ったメガネが合わない時の原因とその対処法について解説します。
目次
メガネの処方箋が合わない理由
処方箋で作ったメガネが合わないと感じる時、必ずしも眼科だけに原因があるとは限りません。患者さん自身やメガネ店に責任があるケースもあるのです。
眼科検査スタッフに原因がある場合
メガネを合わせたスタッフの経験不足や、うっかりした計算ミスによって処方箋が合わない結果になることが多くあります。
メガネを処方する検査スタッフの多くは眼科専門の資格を持つ視能訓練士です。
視能訓練士は子どもの斜視や弱視の訓練、視覚障がい者の視野検査やサポートを行う眼科検査のエキスパートです。
しかし、全ての視能訓練士がメガネの処方を得意としているわけではありません。
メガネの処方は患者さんからいかに多く情報を引き出せるか、患者さんの適性を見ながらどのくらいの度数に合わせるか、頭を使いながら行います。
熟練を要するため、視能訓練士の勉強不足、経験不足によっては「合わない度数のメガネ」を設定してしまう可能性があるのです。
患者さんに原因がある場合
メガネを作る目的については細かくしっかりと伝えましょう。
メガネの処方箋をもらいに行く患者さんが正しい情報を伝えていなかったため、結果的にメガネの度数が目的に適っていないことがあります。
運転免許の更新があるのにそれを伝えておらず、仕上がったメガネで更新に通らなかったとトラブルになったのです。
優秀な検査スタッフがいくら情報を聞き出そうとしても、ご本人から必要な情報を伝えてもらわなければ最適なメガネはできません。
また「眼科の処方箋なんだから完璧」という誤解も解きましょう。
メガネの度数を合わせるのは非常に複雑で、患者さんの状態や状況によっては、ベテラン検査員が処方しても完璧に仕上がるとは約束できないのです。
メガネの処方箋は100%ではない、ということを頭に入れておくと、検査スタッフに対してネガティブな気持ちにならずに済みます。
メガネ店に原因がある場合
受け取った処方箋の度数でレンズを発注し、メガネとして加工する段階でミスが生じ、結果的にメガネが見づらい事態に陥ることもあります。
- レンズを加工する際、処方箋に記載された数値を見誤ってしまった
- レンズをフレームに組み込む際、左右を逆に入れてしまった
以上のようなミスは実際にあるケースです。
また、メガネの度数と処方箋は合っているのにどうにも見づらい原因に、フィッティングが正しくできていなかったというケースもあります。
メガネのフィッティングはメガネ店の技術に託さざるを得ないところがあり、処方箋を発行した眼科の力が及ばない部分なのです。
メガネの処方箋が合わない時にする対処法
メガネを作製後「見えづらいな、処方箋が合っていなかったんじゃないか」と思ったら、直接メガネ店へ行くのではなく、まずは眼科に相談しましょう。
メガネ店は処方箋の通りにメガネを作らなければならず、裏を返せば、処方箋の度数を勝手にいじることが許されていません。
まずは処方してもらった眼科へ行く
最初に行うのは、もう一度処方箋を手に入れることです。
まずは、「最初に処方箋をもらったのと同じ眼科に行く」ことです。
同じ眼科に行くのには、
- 前回メガネを処方した時の経緯やデータが残っているので、より満足度の高いメガネに修正しやすい
- 初診料がかからず再診料で済むので、コストが抑えられる
といった理由が挙げられます。
また、しっかりした視能訓練士であれば、自分が処方したメガネのその後がどうなったのか知りたいはずです。
メガネを使った感想を含め、可能であれば同じ視能訓練士に相談しながら再処方してもらうと、イチから要望を説明せずに済むためスムーズです。
別の眼科でも可
「どうにも検査員と相性が悪い」「あの眼科は信用できない」という不信感を抱いているようなら、別の眼科に行ってメガネ処方箋をもらって構いません。
メガネ店としては処方箋さえあればよいので、同じ眼科である必要はないのです。
ただし、別の眼科にかかる場合は次のことに注意しましょう。
- どのような目的でメガネを作ったかを説明する
- どのような経緯でこのメガネの処方に至ったかを説明する
- 初診料がかかる
メガネ処方は患者さんからの情報が非常に重要なため、メガネを処方した経緯をイチから細かく説明する必要があります。
別の眼科に行く場合は過去の情報がゼロなので、同じ内容でも飛ばさずに、視能訓練士にきちんと状況を伝えて下さい。
新たに処方箋をもらってメガネ店へ行く
同じ眼科、または別の眼科に行き、処方箋を受け取ったら、メガネを作製したメガネ店へ向かいます。
メガネ店にはフレームやレンズに有償・無償の保証があります。
店舗により保証の範囲や期間、有償・無償の判断が分かれるので、一概には言えないものの、メガネの度数交換は保証の対象内になることが多いのです。
処方箋で作製したメガネも「3か月以内なら一度のみ、無料交換します」のように謳っているメガネ店もよく見かけます。
別のメガネ店へ処方箋を持って行ってもメガネ自体は作れますが、保証の関係から、作ったところへ持っていくよう促されるはずです。
「処方箋で作ったメガネなのに、申し訳ない」と気を使ってしまい、いざ交換する時に保証期間が過ぎてしまっていたということのないように、積極的に活用しましょう。
メガネに処方箋は必要?
「そもそもメガネに処方箋は必要なの?」という疑問に対しての答えは、「No」です。
メガネを作製するのに特別な資格が必須ではないので、処方箋がなくてもメガネは作れるからです。
メガネの処方箋はなくても可
メガネは処方箋がなくてもメガネ店のスタッフが検査をして作製できます。
メガネ店スタッフには資格を持たない人や眼鏡作製技能士の資格を持つ人などさまざまおり、その技術もピンキリです。
日本では「誰でも」検査することが許されているため、メガネ業界の一部では薄利多売を目的とする雑な検眼が横行しています。
メガネ店で検査する場合は安売り店ではなく、ベテランスタッフのいる中級クラス以上や老舗の店舗を選ぶとよいでしょう。
眼科でメガネの処方箋をもらうメリット
眼科で処方箋をもらうメリットには「完璧なメガネを作れるから」ではなく、医師に診察してもらえる、隠れていた病気を早期発見できるという点があります。
実際、メガネ合わせのついでに気になっていた飛蚊症を見てもらったら、網膜に穴が開いているのが見つかり、すぐにレーザー治療となった例もあるのです。
もし眼科でなくメガネ店へ行っていたら、症状を伝えて目の中まで見てもらうことができず、そのまま放置して網膜剥離になっていたかもしれません。
「気になる症状はあるけどトシのせい」と決めつけて受診しないより、メガネ合わせを口実に眼科に行けば、その後の人生にとって転機となることもあるのです。
まとめ|メガネの処方箋が合わない時は眼科へ行こう
処方箋が合わない時は、眼科と患者さん自身、作製したメガネ店のいずれかに原因があります。
見づらさや違和感がある場合、まずは眼科に行って処方箋をもらい直して下さい。
眼科の検査スタッフと患者さんの間に信頼関係ができていれば、仮にメガネの処方箋が合わなかったとしても、大きなトラブルにはならないはずです。
眼科もメガネ店も、信頼できるかどうかが一番大切です。しっかり話を聞いてくれる施設を選びましょう。
【記事監修】アイジャパン株式会社 事業本部コミュニケーションデザイン部 木村幸生
コメント